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2010年3月

2010年3月31日 (水)

デジミユ概論

片山まさゆきの漫画『牌賊オバカミーコ』の13巻に,デジタル派の打ち手として,デジミユという名前のキャラクターが登場している。今回は,彼女の手筋とそれに対する周囲の反応などについて気になった箇所について,コメントしたいと思う。


子 2巡目 五七七(2)(2)(4)(4)(5)34466 ドラ(5) 
デジミユはこの手で6をポンしているが,融通が利く受けと手の高さに期待してチートイツに行くべきである。また,仮に面子手に行くにしても鳴きは完成面子ができてからにしたい。完成面子が無い状態からの鳴きには守備に不安があることと,チートイツの芽が消えること期待することの2つのデメリットがある。


親 222m26p2246s中中発北 ドラ6p
デジミユはこの手から2sをポンした。手牌がバラバラの手からのポンを観戦者(アナログ派)は否定したが,
 ● 親であること
 ● トイトイや三色同刻が狙えること
 ● すでに完成面子(2mの暗刻)があること
 ● 2sが中張牌である(先々鳴きづらくなる)こと
を考慮するとさすがにポンが正解だろう。
ただし,一般的にバラバラの手からの鳴きは筋が悪いことが多い。というのは,
 ●手牌を短くすることにより守備が不安になること
 ●鳴いたら何かを捨てなければいけないがそのときに裏目があること(逆に言えば,鳴いたときに切る牌に迷わない形ならば鳴きやすいともいえる)
の2つのリスクがあるからである。


親 1118999m23789p56s ドラ6p
デジミユはこの手から8mを切った。ジュンチャンを見て56sを落とす手もあるが ,そうしなかったのはジュンチャン狙いは裏目になる確率が高いからだとしている。私はその根拠に疑問を感じる。
以下荒く見積もってみる。7mと1pツモで約半分の確率でジュンチャンがつくが,ジュンチャンによって点数が5倍になると近似すると,7mと1pツモで点数は,(1+5)÷2=3(倍)になると近似できる。8m切りは点数1倍の受け入れが8つ,56sは点数1倍の受け入れが3つと点数3倍の受け入れが2つがあることになる。単純に計算すると,1×8=8と1×3+3×2=9となる。ほぼ互角といえる。
8<9だから56s落としが正着だと単純に結論を出すことは当然できないが,少なくとも悪手だとはいい切れないだろう。


345678m34p22466s ドラ3m から2sポン
テジミユは他者のこの鳴きを否定したが,私も否定する。ただ,もしドラが1枚も無い手なら鳴いた方がよいだろう(巡目にもよるが)。育てても満貫級の手になりづらいので,鳴いてかわし手にするわけである。簡単に言うと,2飜と4飜の差は大きいが,1飜と3飜の差はそれほどでもないということである。

デジミユは,「門前で期待できる打点の1/3に満たない場合は鳴きません」と基準を設けているが,これはあまり実用的な基準ではないと思う。実際
78m244889p789s発発 ドラ9s から発ポン
を作中で肯定している。2向聴からの鳴きか1向聴からの鳴きかで違ってくるだろうし,嵌張チーか両面チーかでも違ってくる。状況による差が大きすぎるのである。そもそも,門前で期待できる打点をどのように見積もるかも難しい問題である。
まあ,本人も厳密な基準のつもりで言っているわけではないだろう。「デジタルも打点は意識してますよ。」ぐらいの気持ちなのではないだろうか。


親 22245667m567p357s ドラ5m 場に4s1枚切れ6s2枚切れ
ここでデジタルの打ち手(デジミユとは別人)は,打3sではなく打7sとした。作中では,受け入れが多く三色フィニッシュにはなりづらいから効率を重視すると解説していた。その解説には疑問を感じる。確かに打3sの三色狙いはメリットが小さいかもしれないが,受け入れ1枚程度の差ではデメリットも小さいはずである。ここで打3sとしても牌効率がそんなには落ちない。バランス(メリットとデメリットを合わせた総合)では,打3sの方が優れているように見える。
昔は,「配牌を見たら三色を狙え」という言葉のように手役が重視されていた。その反動からか,最近は「三色は付加価値にすぎない」という言葉のように手役軽視が主流になってきている。私はどちらの考えも間違っていると思う。手役自体には,狙うべき理由もさけるべき理由も無い。あるのはメリット(たいていの場合は打点)とデメリット(たいていの場合は牌効率のロス)だけである。単純にメリットとデメリットを精査して有利な方を選択するのが最善の方法だろう。
それについて,良い例が作中にあったので紹介する。

9s1s4s5p7m3m1m(宣言牌)の捨て牌のリーチを受けたテジミユの手牌
2m123445p1234678s ドラ3p
ここから,デジミユは一通狙いの打5pではなくて,打4sとしている。
打5pとしたときのうれしい受け入れは,
3s,5s,9sの3種(1s,4s,2mは役無し愚形なのでうれしくない。)
打4sとしたときのうれしい受け入れは,
2m,1p,4p,3p,6p,の5種
(1s3sは互角なので除いた。)
これらの比較で,打4sが有利だという話である。

打4sとしたのは,手役狙いをさけたからではなく,単純にそっちの方が有利だからである。このように,変な先入観を持たずに単純にメリットとデメリットのバランスを取るのが最も良いやり方だと思う。


南家 345m22335p678s南南 ドラ7s 場に南1枚切れ
ここからデジミユは3pをポンして後づけの南待ちにした。観戦者(アナログ)はこれを否定したが,私は自然な手順だと思う。この手は門前でつくっても鳴いたときと比べてそれほど点数が高くなるわけではない。すでに三飜が見えているし,また,三色や平和などのような鳴きと門前で飜数が変わる役が無い。一盃口はあるが,一盃口にすると南がつかなくなるのでかえって安くなる。


自分の手牌:33m123p白白 ツモ5mポン555s チー678m
リーチ者の捨て牌:北9p白南2s3p4m2m(宣言牌)
デジミユはこのリーチを受けて打3pからオリに回った。作中の実況が「ツーフーロから身もフタもなくベタオリできる先人がむしろ否定してきたスタイル」だがこれが「デジミユの強者たる由縁」と言っていたが,むしろ当たり前の打ち方だと思う。確かに一般的に2フーロでのオリは安牌が少なく降りきれる確率が小さいため無理筋になるのだが,今回の場合は事実として安全牌が多くあるので降りきれると考えるべきである。

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