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2009年6月13日 (土)

5 期待値

まず、次の問題について考えてみよう。
コインを1回投げて、表が出れば100円もらえて裏が出れば1円ももらえないという賭けがある。この賭けを1回行うのに参加料を何円か払う必要があるとき、参加費が何円なら有利でも不利でもない公平な賭けになるだろうか。

この問題の答えが50円になるのは分かると思う。1/2の確率で50円得して、1/2の確率で50円損するので、これはバランスが取れているといえる。

これは簡単なケースだが、もっと複雑なケースの場合はどのように計算すればよいのだろうか。
今度は次の問題について考えてみよう。

さいころを1回投げて、1~3の目が出れば(確率1/2)300円もらえて、4、5の目が出れば(確率1/3)600円もらえて、6の目が出れば(確率1/6)900円もらえるという賭けがある。
この賭けを1回行うのに参加料を何円か払う必要があるとき、参加料が何円なら有利でも不利でもない公平な賭けになるだろうか。

このような問題は賭けの回数をどんどん増やしていけば考えやすい。
賭けの回数をどんどん増やしていくと、大数の法則より、1~3の目によってもらえる金額は、賭けの回数×1/2×300円に近づいていく。同じ様に、4、5の目によってもらえる金額は、(賭けの回数)×1/3×600円に、6の目によってもらえる金額は、賭けの回数×1/6×900円に近づいていく。
よって、もらえる金額の総計は、賭けの回数×(300×1/2+600×1/3+900×1/6)円に近づいていく。したがって、もらえる金額の平均(=もらえる金額の総計÷賭けの回数)は、300×1/2+600×1/3+900×1/6=500(円)に近づいていくことになる。
これは、求める参加料が500円であることを示している。

本当に近づくのか試してみる。
この賭けを2000回行い、行った回数が50回、100回、500回、1000回、2000回に到達した時点で、それぞれの金額になった回数、それによる金額の総計と金額の平均を調べた。その結果をまとめたのが次の表とグラフである。

50回 100回 500回 1000回 2000回
300円の回数 20 44 244 505 1013
600円の回数 21 37 170 341 650
900円の回数 9 19 86 154 337
金額の合計 26,700 52,500 252,600 494,700 997,200
金額の平均 534.0 525.0 505.2 494.7 498.6

 

Matomek

確かに回数を多くすれば多くするほど金額の平均が500円に近づいていっている。

ここまでの話は、期待値という用語を使って次のように一般化できる。

試行の結果によってある変数の値が決まるとき、次の数をその変数の期待値という。
期待値=∑(変数の値×その値になる確率)
〔ここで、∑は( )の中をすべての場合について合計することを表している。〕

このとき、試行回数を増やせば増やすほど、変数の平均(=変数の総計÷試行回数)は期待値に近づいていく。

これを先ほどのさいころの賭けの例で置き換えると、

もらえる金額は、さいころの出た目によって300円、600円、900円の3つの値をとり、その期待値は次のようになる。

期待値=∑(金額×その金額になる確率)=300×1/2+600×1/3+900×1/6=500(円)

よって、賭けの回数を増やせば増やすほど、もらえる金額の平均(=金額の総計/賭けの回数)は、500円に近づいていく。

となる。

ここで、例題を出してみよう。
(例題)AさんとBさんがあるゲームで賭けをした。ルールは、先に4勝した方が相手から200円もらえるというものだった。しかし、Aさんの3勝2敗となった時点で勝負を中断して清算しなくてはいけなくなった。
このとき、お金の受け渡しはどのようにするのが公平か。ただし、2人の技量は互角で、勝ち負けは同様に確からしいとする。
(解答)Aさんからみると、200円払う(すなわち、-200円もらう)のはこの後2連敗するときのみであり、その確率は、積の法則から、1/4(=1/2×1/2)である。それ以外のときには、200円もらうことになり、その確率は、3/4(=1-1/4)である。
よって、Aさんがもらう金額の期待値は、

(-200)×1/4+200×3/4=(-50)+150=100(円)

となる。したがって、BさんがAさんに100円払えばよいことが分かる。

以上のように、期待値はギャンブルを確率論で考察するときには重要な概念である。

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