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2009年6月13日 (土)

3 積の法則

まず,次の問題について考えてみよう。
大小2つのさいころを同時に投げる。このとき、大きいさいころの目が偶数になる確率と小さいさいころの目が3の倍数になる確率は、それぞれ1/2と1/3である。それでは、この2つのことがらが同時に起こる確率はどれくらいになるだろうか。

試行回数が十分に多いときは、大きいさいころの目が偶数になる回数は、試行回数×1/2(回)前後になると予想できる。ということは、これと同時に小さいさいころの目が3の倍数になる回数は、(試行回数×1/2)×1/3=試行回数×1/6(回)前後になると予想できるということである。(例えば、試行回数が60000回のときは、大きいさいころの目が偶数になる回数は、60000×1/2=30000(回)前後になり、さらに小さいさいころの目が3の倍数になるのは、30000×1/3=10000(回)前後になる。)
これは、求める確率が1/6であることを意味する。

確率では次のような積の法則と呼ばれる法則(※)が成り立つ。

 

積の法則(※)

ことがらA、Bが両方起こる確率は、

  Aが起こる確率×Bが起こる確率

と等しい。

この積の法則について、例をもう1つあげて考察してみよう。
5本中2本が当たりのくじがあり、これを兄が先に1本引き、それをもどさずに弟が残りの4本から1本引く。このとき、弟が当たりを引く確率はどれくらいになるだろうか。

このケースでは、兄が当たりを引いたときと引かなかったときで,弟が当たりを引く確率が違ってくるので注意が必要である。求める確率は、(兄が当たりを引いて、さらに弟も当たりを引く確率)と(兄がはずれを引いて、さらに弟が当たりを引く確率)の和になる。
まずは、(兄が当たりを引いて、さらに弟も当たりを引く確率)を求めよう。
兄が当たりを引く確率は、当たりが5本中2本だから2/5である。また、兄が当たりを引いたときの、弟が当たりを引く確率は、当たりが4本中1本だから1/4である。よって、ここで求める確率は、2/5×1/4=1/10である。
次に、(兄がはずれを引いて、さらに弟が当たりを引く確率)を求めよう。
兄がはずれを引く確率は、はずれが5本中3本だから3/5である。また、兄がはずれを引いたときの、弟が当たりを引く確率は、当たりが4本中2本だから2/4=1/2である。よって、ここで求める確率は、3/5×1/2=3/10である。
よって、求める弟が当たりを引く確率は、1/10+3/10=4/10=2/5となる。
(これは兄が当たりを引く確率と同じになる。このことから、くじ引きは、引く順番によって有利不利が発生しないことが分かる。)

実は、上にあげた積の法則(※)は厳密な表現ではない。ことがらAが起こったか起こらなかったかで、ことがらBが起こる確率が変わることもあるからである。正しくは、次のように書かれるべきである。(ちなみに、ことがらAが起こったか起こらなかったかで、ことがらBが起こる確率が変わらないことを、ことがらAとBは独立であるという。)

 

積の法則(改変版)

一般に、ことがらA、Bが両方起こる確率は、

  Aが起こる確率×Aが起こったときBが起こる確率

と等しい。

特に、Aが起こったか起こらなかったかで、Bが起こる確率が変わらない(=AとBが独立である)とき、この確率は、

  Aが起こる確率×Bが起こる確率  

と等しい。

もう1つ具体的な例をあげておこう。1が1/6の確率で出るさいころがある。

最初に、このさいころを2回振ったときについて考える。
まず、1が0回出る確率は1以外の目が2回出る確率と考えて、

5/6×5/6=25/36

次に、1が1回出る確率は、

(1回目に1が出る確率)×(2回目に1以外の目が出る確率) +(1回目に1以外の目が出る確率)×(2回目に1が出る確率)

だから、

1/6×5/6+5/6×1/6=5/36+5/36=5/18

さらに、1が2回出る確率は、

1/6×1/6=1/36

今度は3回投げたときについて考える。
まず,1が0回出る確率は,

5/6×5/6×5/6=125/216

次に,1が1回出る確率は、

(2回目までに1が1回出る確率)×(3回目に1以外が出る確率)+(2回目までに1が0回出る確率)×(3回目に1が出る確率)

だから、

5/18×5/6+25/36×1/6=50/216+25/216=25/72

残りの1が2回出る確率,3回出る確率は,同じ様に計算してそれぞれ,5/72,1/216となる。

● 麻雀と確率に関するよくある誤解

麻雀と確率に関するよくある誤解に、麻雀の手牌の種類は膨大であるため、確率論は適用できないというものがある。それが間違いであることを説明する。
ここで、6つの面のうち1つの面に1が書かれているさいころAと、6万個の面のうち1万個の面に1が書かれているさいころB(仮想のさいころである。実際には正六万面体は存在しない。)を考える。さいころA、B両方とも1が出る確率は1/6で同じである。
上で、さいころを2回、3回投げたときに1が出る確率について計算したが、この計算をするときに使ったのは、1が出る確率1/6だけであり、面の数(6や6万)は一切出てこなかったことを確認してほしい。さいころの目の出方の確率分布は、さいころAもBで等しくなる。例えば、3回投げたときに1が1回でる確率は、さいころAもBも25/72である。
同じ様なことがさいころを投げる回数を増やしたときにもいえる。例えば,さいころを18回投げたときに1が4回出る確率やさいころを1000回投げたときに1が160回でる確率などがさいころAとBで等しくなるということである。
よって,さいころを600回投げたときに1が出る回数が595回以上605回以下になる確率や6万回投げたときに1が出る回数が59500回以上60500回以下になる確率などもさいころAとBで等しくなる。したがって、確率の収束のし方は、面の数が少なくても多くても変わらないことになる。

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